28年振りの日記(爆)
僕の人生の中に待ち焦がれたというイベントが今までに幾つか有ったのだけど、
先日、そのイベントに新たな1ページが書き足される事になった。
今までに実体験として体験したいと思いながらなかなか実現が叶わなかった事に
大好きなバンドのライブがあったのだけど、
特に気になっていたのはPink Floyd と Emerson . Lake & Palmerのコンサートだった。
どちらのバンドも余りにも有名な70後期〜80年代プログレ・ロックの大御所であり、
僕の記憶する限り、2度づつ来日を果たしているのだけど、
一度目の来日は、いずれも僕がまだ義務教育の年齢を脱する前の事で、
興味は人並み以上に持っていたし、持っていたレコードだって擦り切れてしまって、
同じ物を買い直しした物も何枚か有ったのだけど、
中坊の僕に外タレのコンサートに行ける程の小遣いの貯えが有った筈もなく、
両者は僕にとって雲上人のごとき存在で、当時音楽評論家として絶対的なカリスマ性を持っていた
渋谷陽一氏の理屈っぽく斜に構えた口上の、随所にマニアックな蘊蓄がちりばめられた
コンサートレポートを、ため息をつきながら読みふけっていたものだった。
そうこうするうちに、急速に音楽シーンは空前のディスコ(死語)ブームが押し寄せて、
深刻振ったプログレ音楽なんかには誰も見向きもしなくなっていって、
トゥ・ラヴ・サムバディなんてのを爽やかに歌っていたハズのBee Geesが大変身を遂げちゃって、
ファルセットヴォイスを張り上げて、ニワカトラボルタ君&オリビア姉ちゃんがダンスフロアに溢れかえり、
(あ、もちろんそのバンドも大好きで、それぞれにちゃっかりコンサートにも行きましたが)(笑)
「踊れる曲じゃなきゃ人でなし」みたいな風潮が世間にははびこっていたのだけど、
どっこい、僕の心の中には消える事なく、プログレ魂は僕の中に生き残っていたのだった。(^◇^;)
やがてダンスミュージックもユーロビートやハウス系に移り変わってゆき、
腹巻きスカートに羽根扇子振り回してお立ち台に上がるお姉ちゃんが、
野郎どもやメディアのカメラに視姦されている頃を前後して、
好景気の余波に乗って海外大物アーティスト来日ブームがやってきた。
法外なギャラで節操なくプロモーターが呼ぶ大御所連中が出稼ぎに来日しだした中に、
ついに帰ってきましたOh My Pink Floyd !
グループ内のごたごたで、煮詰まっちゃったバンドリーダーでベースのロジャー・ウオーターズは脱退して、
完全な第二期 Pink Floyd オリジナルメンバーではなかったけれど、
ディヴィッド・ギルモアのナキのストラスキャスターと、リック・ライトのホワワ〜ンってオルガン、
常に大いばりで半拍遅れてるニック・メイスンのドラムが聴けるんだから贅沢は言いません。
仕事終わって、そそくさと大阪城ホールに通いましたよ2 日間。(笑)
ワールドツアーの情報はそこかしこに流れていて、演奏する曲順まで判っちゃってたけど、
始まった途端に腰が抜けちゃった状態で、感激の余り涙が溢れて止められなかったですね。
ロジャー・ウオーターズがリードボーカルを取っていた曲を、ディヴが歌うのは妙に違和感が有ったり、
気迫がちょっと希薄(あ、駄洒落言ってる訳ではナイです)かなーと思ったけれど、
ちゃんと雑誌の海外コンサートレポートに有った巨大なピンクの豚のアドバルーンは飛んでるし、
ムービーとライト、レーザー光線の演出は、大阪城ホールの空間全てを演出の場所にしてしまうという、
自分の貧相な想像の域なんてものは遥かに凌駕したスケールで度胆を抜かされたとはこの事だ。
ちょっと割高だったチケット代も十分に納得出来る内容で、アンコールが終わっても席を立つ事が出来ず、
会場の後片付けが始まって、係りの人に追い出されるまでその場に座り込んでいた...
と言うか、帰りたくなくてだだをこねる子供の気分だったなぁ。
ただ、若い頃はモデルもしていたと言う経歴で、ストレートロン毛でストラトを
それはそれは格好良く操っていたディヴが、見るも無惨に中年太りで、
しかも角刈りのような頭!更に普段着かと疑いたくなるような白のYシャツ
(敢えてYシャツと言いたい)ア〜ンド、グレーのスラックス!
おっさん、そりゃないだろう?ステージに立って何万人もの観衆を前にして、
その出で立ちが出来ちゃう感覚は殆ど変態だぜ。って思う程、
心の中のディヴのイメージと程遠く、内心トホホ状態半分、おっさんバンドパワー恐るべし。
なんて思いながら、帰りの電車に乗り込んだのだった。
片やE . L & P は、解散したり再結成したのはいいけど、ドラムのカール・パーマーが
ASIAに取られちゃって、代打のコージー・パウエルで再結成して、E . L & P はE . L & P だけど、
エマーソン、レィク&パウエルって、何だかなー状態だった時期も有ったり、
その後のオリジナルメンバーによる再結成アルバムも、イマイチ精彩さに欠けるって言うか、
どうもぱっとしない。
勿論熱狂的ファンだった僕は来日コンサートも逃さず見に行って、
キース・エマーソンのハモンドオルガン逆さ弾き&ナイフ立ても、この目で見れて嬉しかったし、
カール・パーマーの超人的なドラムは変わらなかったけれど、
「あー、この人達のライブが見れるのも最初で最後だろうな」って思わざるを得なかったな。
確実に時代が流れている事を実感させられたというか。
彼等はスーパースタートリオとして鳴りもの入りで結成されたバンドだったけど、
その個々の完成度の高さ故に結成した時点で完結しちゃったのかも知れない。
「展覧会の絵」をピークにして「恐怖の頭脳改革」あたりで燃え尽きちゃったんじゃないかな?
でも、まぁめったに彼等のライブを見れる事なんてなかった訳だし、
この目で見たいと切望していたバンドだったので、感激したのは感激したんですけどね。
でも、Pink Floyd を見終わった時は、「あぁ、絶対にもう一度この人達のライブを見たい」
と思ったけど、E L & P を見た後は、「これでおしまい。完結した。」って思ったのは、
やはりバンドとしてPink Floyd がまだ変化していく余地を残しているからだろうかと思ってみたり。
どちらも思春期に猛烈に熱中したバンドだったし、10数年来日を待ち続けてきたのだけれど、
これ程コンサートを見終わった後に両者で印象が違って来るとは自分でも驚く事実だった。
時代が変わり、彼等も変わり、僕自身の価値観も気付かないうちに変化していったからでしょうか...
話しがすっかり音楽系になっちゃってますが、その後にこのサイトのコンテンツのひとつでもある
軍艦島に渡って取材できたのも、それ以上に長年に渡っての夢だったのだけど、
先日、同じように随分長い間どんな人なんだろうと思い続けて20年以上経っていた人に会う事が出来て、
ほんのわずかな時間ですが言葉も交わす事ができたんですよ。いや、嬉しかったっす。
その人は、ストーム・トーガソン。
くだんの Pink Floyd や、Led Zeppelin、Alan
Parsons などのレコジャを手掛けたデザイナーで、
以前はヒプノシスと云うデザイン・制作集団をイギリスで主宰していた人物です。
今回、彼のヒプノシス時代の作品も含む個展とアートレクチャーがあり、
取る物もとりあえず彼を一目見ようとミナミに出かけていったんです。
かつて、Pink Floyd に傾倒し、寸暇を惜しんでレコードを聞いていた僕の手許には、
彼のデザインしたレコードジャケットが常に有り、それまでの僕の常識をことごとく覆した
Pink Floyd の音楽と、彼のデザインする日本のレコードジャケットには到底有り得ない感覚は、
音とビジュアルの深い繋がりと、写真を作るという行為を初めて僕に意識させる教科書だった訳です。
一枚のレコードで、音楽とビジュアルの両方をとことん楽しめるって、すごく贅沢な事ですよね。
レコードが擦り切れる位に何度も手に取って、アルバムのコンセプトや曲に込められたメッセージを
自分なりに消化して理解した時に、一見何の関連性も見出せなかった彼の手掛けるレコジャの一枚一枚の写真の中に
込められたメッセージが、それらとシンクロしている事に気付いた時は、鳥肌が立たんばかりに驚き、驚嘆させられました。
多くのトリックや韻を踏んでいるその表現方法は、エキセントリックな印象が目立ち易いのだけど、
注意深く洞察していくと、アルバムのそれぞれの曲が言いたい事や、全体的なコンセプトと妙に一致している部分が有り、
感服してしまいます。
またその作品の多くは、合成して作った物だと思っていた物の多くが、
とんでもない時間と労力、それにお金を注ぎ込んで実写された物が多いと知って二度驚かされました。
実際に見るトーガソン氏は、白髪が殆どのおっちゃんで、外人特有の、スペシャル太鼓腹に
アンバランスなまでの細い下半身。どちらかと言えば温厚な顔だちの
間もなく初老にさしかかろうかと云う男性だったのですが、
どういったコンセプトや姿勢で作品を作っていくのか、彼の作品を例に上げながら精力的にレクチャーしてくれて、
写真の持つリアリティーと、瞬間を切り取る事で、実際に目の前に有りながら写真という
二次元の世界に閉じ込められた世界が、思いもしない非日常を作り上げる事をポラロイドを使って実演したり、
ユーモアたっぷりに制作裏話をする彼の話しに会場のみんなが引き込まれ、
予定時間をオーバーして、時間押せ押せでやっとレクチャーを切り上げて、
その足で展示会場に場所を移しての質疑応答となった訳です。
1時間近く立ちっぱなしで体全体を使ってのレクチャーの後、続けて個々の作品の前での質疑応答で、
最後の方は、さすがにお疲れ気味だったようですが、いくつかの疑問だった事を本人からタネ明かししてもらい、
作品集に(結構お高かったですが..)サインしてもらって握手してって、すっかりミーハーして帰ってきたんですが、
ちょっと個人的にテンション下がっていた時期で、作りかけの作品も行き詰まり状態で腐っていた時に
沢山の元気と違う視点から物を見るヒント、長い間叶わなかった願望が叶った事で
ポジティブな気持ちにさせてもらえた事に感謝したいと思っています。
次に撮影する作品に、どれだけの事がフィードバックできるか僕自身とても楽しみだし、
皆さんも期待して下さい。...って、大風呂敷広げちゃっていいんだろか?(笑)
まっ、何事にもプラス思考でいくって事はいい事だから、
自分自身が楽しんで作品が作っていけたらいいなと思っています。
ストーム・トーガソン氏に会えた幸運に心より感謝して。